30代独身女性が、コンビニのお菓子売り場で5分立ち尽くしてしまう理由

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    選べない夜と、コンビニのお菓子売り場

    ぼんやりする30代女性

    なんでも買える時代なのに、なにも決められない

    六月の夜です。

    梅雨入りした街は、昼間の熱気を少しだけ残したまま静かになっています。

    仕事帰りの私は、なんとなくコンビニへ入りました。

    別にお腹は空いていません。

    でも何かが欲しい。

    そんな気分です。

    アイスかもしれないし、チョコレートかもしれないし、炭酸飲料かもしれない。

    けれど棚の前に立つと、私は急に動けなくなります。

    新商品。

    期間限定。

    糖質オフ。

    高カカオ。

    ご褒美スイーツ。

    SNSで話題。

    おすすめランキング1位。

    選択肢は山ほどあります。

    なのに決められません。

    気づけば5分経っています。

    高校生の頃は違いました。

    好きなお菓子を見つけたら迷わずカゴへ入れていました。

    でも30代になった今は違います。

    「これを買って後悔しないかな」

    「太らないかな」

    「本当に食べたいのかな」

    「お金の無駄かな」

    そんなことばかり考えています。

    たった200円のお菓子なのに。

    人生を左右するわけでもないのに。

    私は棚の前で真剣に悩んでいるのです。

    そして、そんな自分に少し疲れてしまいます。

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    30代になると増える「小さな判断」

    子どもの頃は親が決めてくれていました。

    学生時代は制服がありました。

    社会人になってからも20代前半は勢いで選べました。

    けれど30代になると違います。

    毎日が選択の連続です。

    朝ごはんは何にするか。

    昼休みに何を食べるか。

    美容液を変えるか。

    転職するか。

    婚活を続けるか。

    実家へ帰るか。

    NISAを増額するか。

    友達の誘いを断るか。

    返信するか。

    しないか。

    誰にも気づかれないような小さな判断が、1日の中に何十個もあります。

    だから夜になる頃には脳が少し疲れているのです。

    コンビニのお菓子売り場で動けなくなるのは、お菓子の問題ではありません。

    その日一日積み重なった選択の疲れが、最後に現れているだけなのかもしれません。

    だから私は最近、自分を責めるのをやめました。

    決められない夜があってもいい。

    5分立ち尽くしてもいい。

    人はロボットではないのです。

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    本当に欲しかったのは、お菓子じゃなかった

    ある雨の日のことでした。

    その日も私はチョコレート売り場で悩んでいました。

    新商品が3種類。

    どれも美味しそうです。

    でも決められません。

    そこで私はふと立ち止まりました。

    「私、本当にチョコが食べたいのかな」

    そう考えたのです。

    すると不思議なことに答えが出ました。

    違いました。

    私はチョコが欲しいわけではありませんでした。

    ただ今日の自分を労いたかっただけでした。

    仕事で失敗したわけではありません。

    誰かとケンカしたわけでもありません。

    でも疲れていました。

    一生懸命働いて。

    一生懸命笑って。

    一生懸命未来を考えて。

    少しだけ疲れていたのです。

    だから私はチョコを買いませんでした。

    代わりに温かいカフェラテを買いました。

    家に帰ってゆっくり飲みました。

    それだけで気持ちが軽くなりました。

    不思議ですよね。

    欲しいと思っていたものと、本当に必要だったものは違っていたのです。

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    結局その夜、私は何も買わなかった

    ここで意外な話をします。

    実はこのテーマを書こうと思ったきっかけの日。

    私は結局、何も買わずにコンビニを出ました。

    チョコも。

    アイスも。

    スイーツも。

    何ひとつ買いませんでした。

    でも不思議と後悔はありませんでした。

    むしろ少し嬉しかったのです。

    なぜなら、その日初めて気づいたからです。

    私はお菓子を選べなかったのではありません。

    私は「疲れている自分」を認めたくなかっただけでした。

    何かを買えば気分が変わると思っていました。

    でも本当に必要だったのは買い物ではなく、

    「今日は疲れたね」

    と自分に言ってあげることだったのです。

    30代になると、自分を励ますのも、自分を守るのも、自分しかいません。

    だからコンビニのお菓子売り場で立ち尽くした夜は、実は負けた日ではありません。

    自分の心の声を聞こうとしていた日なのかもしれません。

    今夜もどこかで、コンビニの棚の前で悩んでいる女性がいると思います。

    もしその人に会えたなら、私はこう言いたいです。

    「別に選ばなくても大丈夫ですよ」

    買ってもいい。

    買わなくてもいい。

    人生は案外、そのくらい自由でいいのです。

    六月の雨音を聞きながら、そんなことを思う夜でした。


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