
今日は珍しく早くお風呂に入った。
ドライヤーを終えて、まだ少し湿った髪のままベッドに腰を下ろしたのが夜10時14分。
窓を少し開けていたから、外から車が通る音がかすかに聞こえていて、部屋には柔軟剤の匂いが残っていた。
スマホを手に取る。
特に用事があるわけじゃないのに。
Instagramを見て、Threadsを見て、またInstagramに戻って。
気づけば同じ画面を何度も行ったり来たりしていた。
そんな時に限って、見たくないものを見つける。
「オンライン」
たったそれだけ。
ただ緑色の丸がついているだけなのに、なぜか心がざわつく。
返信は来ていない。
でもオンライン。
別に恋人でもない。
付き合っているわけでもない。
婚活アプリで知り合った人かもしれないし、少し気になっている相手かもしれないし、ただ最近よくやり取りしていた人かもしれない。
なのに、なんだろう。
頭の片隅が急に忙しくなる。
私だけかなと思ったら、Threadsを見ていると似たような投稿がたくさん流れてくる。
「返信はないのにストーリーは更新される」
「オンラインなのに既読にならない」
「他の人にはコメントしてるのに私には返事がない」
読んでいると少し笑ってしまう。
だって、みんな同じこと考えてる。
でも、その笑いのあとに少しだけ胸が痛くなる。
わかるから。
数年前の私はもっと平気だった気がする。
返信なんて来たらラッキー。
来なかったらそれまで。
そんな感じだった。
なのに30歳になった今のほうが、妙に気にしてしまう日がある。
不思議だ。
大人になったら余裕ができると思っていた。
現実は逆だった。
年齢を重ねるほど、失敗したくなくなる。
傷つきたくなくなる。
だから小さな反応ひとつに意味を探してしまう。
◆>>女性のリズムを整える葉酸サプリ【ベルタプレリズム】この前もそうだった。
夜11時くらいだったと思う。
気になっていた人に送ったメッセージ。
内容は本当にどうでもいいものだった。
「今日すごい雨でしたね」
それだけ。
我ながら話題の選び方が絶望的だなと思う。
天気。
おばあちゃんとの会話か。
自分で送っておいて笑った。
でも相手は優しかったから、いつもなら返事をくれた。
なのにその日は返ってこなかった。
翌朝も。
昼も。
夜も。
その間に私は何回オンライン表示を見ただろう。
正直数えていないけれど、かなり見た。
自分へのツッコミが止まらない。
暇なのか私は。
いや暇じゃない。
仕事もある。
洗濯物もある。
やることは山ほどある。
それなのにスマホを開いてしまう。
そしてまた確認する。
来ていない。
来ていない。
まだ来ていない。
そんな自分が少し恥ずかしい。
誰にも言えないけれど。
Threadsには、人間のちょっと情けない部分がよく流れてくる。
キラキラした写真よりも、
「好きな人から返信が来ない」
とか
「会話の終わらせ方がわからない」
とか
「急に冷められた気がする」
とか。
読んでいると妙に安心する。
みんな意外と格好悪い。
私だけじゃなかった。
そんな気持ちになる。
もちろん投稿している本人たちは真剣なんだけど。
だからこそ面白い。
誰だって少しくらい面倒くさい感情を抱えている。
私もそう。
本当は返信なんて来なくても生きていける。
ご飯も食べられる。
仕事もできる。
睡眠も取れる。
なのに心だけが妙に引っかかる。
人間って不便だ。
もっと不便なのは、勝手にストーリーを作り始めることだ。
返信が来ない。
↓
嫌われたのかな。
↓
変なこと送ったかな。
↓
他に好きな人ができたのかな。
↓
私なんか最初から興味なかったのかな。
気づけば映画一本作れそうなくらい妄想が進んでいる。
しかも全部悪い方向。
びっくりするくらい才能がある。
ネガティブ脚本家としてならデビューできそうだ。
でも数日後に返事が来る。
「ごめん、仕事忙しかった」
たったそれだけ。
拍子抜けする。
あれだけ悩んだ時間は何だったのか。
あの深夜の反省会は。
脳内会議は。
ひとり作戦本部は。
婚活をしていると余計にそういう場面が増える。
返事の速度。
絵文字の数。
句読点。
改行。
全部気になる。
気にしない人になりたいのに。
全然なれない。
そしてまたThreadsを開く。
すると誰かが書いている。
「好きな人の返信速度で自分の価値を決めないほうがいい」
そんな投稿。
いいこと言うなぁと思う。
思うだけ。
5分後にはまたオンライン表示を見ている。
◆>>美しくなるためのサプリメント SNS話題沸騰中の【グラミープラス】はこちら学習能力はどこへ行ったのか。
夜中になると感情は少し大きくなる。
昼なら流せることも流せなくなる。
冷蔵庫のプリンを食べるか悩むくらいのテンションで人生を考え始める。
あれは本当に不思議だ。
夜1時を過ぎると世界の解像度が変わる。
返信ひとつで落ち込んだり。
絵文字ひとつで喜んだり。
忙しい。
感情が忙しい。
朝になれば少し落ち着くのに。
この前、友達とカフェに行った時もそんな話になった。
「返信来ないと気になるよね」
と言ったら、
「私は通知切ってる」
と返された。
強い。
強すぎる。
ラスボスか。
私なんて通知を切るどころか、自分から確認しに行っている。
通知がなくても見に行く。
意味がない。
完全に自動巡回システムである。
そんな自分を想像すると少し笑える。
でもたぶん、笑えるうちはまだ大丈夫なんだと思う。
好きな人がいる時って、自分の知らない自分が出てくる。
こんなことで悩むんだ。
こんなに待てないんだ。
こんなに考えちゃうんだ。
発見ばかりだ。
あまり嬉しい発見ではないけれど。
今もきっとどこかで、
返信を待ちながらスマホを伏せたり、
いややっぱり気になって開いたり、
Threadsで同じような投稿を探したりしている人がいる。
私みたいに。
そしてまた少し安心しているのかもしれない。
あぁ、自分だけじゃないんだなって。
そういえば昨日、返事が来なかった相手から夜中にメッセージが届いた。
通知音は鳴らしていなかったのに、なぜかすぐ気づいた。
怖い。
自分でも少し怖い。
内容は本当に普通だった。
拍子抜けするくらい普通。
でも、その普通な文章を見ながら、私は少しだけ笑ってしまった。
あれだけ考えていたのに。
あれだけ想像していたのに。
人は相手の気持ちより、自分の想像に振り回される時間のほうが長いのかもしれない。
そんなことを考えながら、
今日もたぶん私は寝る前にスマホを触る。
そしてまた、
見なくていいものを見てしまうのだろう。
返信が来ない時間と、
自分の頭の中で作った物語の長さは、
いつも比例するんだろうか。
そんなことを考えながら、ベッドサイドのライトを消した。
窓の外では、まだどこかの車が走っている音がしていた。
答えはたぶん、今夜も届かない。
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