エニピルを申し込む直前、私がいち

六月も半ばを過ぎました。
窓を開けると、少し湿った風が部屋に入ってきます。
昼間は夏の気配が近づいているのに、夜になると妙に心細くなる季節です。
そんな夜、私はスマホを握りながら「エニピル」と検索していました。
理由は生理痛でもあります。
PMSでもあります。
将来の妊娠への不安でもあります。
でも本当の理由は、もっと別のところにありました。
誰にも言っていない感情です。
30代になってから、体調の小さな変化が増えました。
生理前になるとイライラする。
意味もなく泣きたくなる。
好きな人から返信が来ないだけで世界の終わりみたいな気持ちになる。
鏡を見ると肌荒れ。
朝起きると顔がむくんでいる。
昔なら一晩寝れば元気になれたのに、今は数日引きずります。
でも病院へ行くほどではない。
だから誰にも相談できません。
そんな「病気じゃないけどつらい」を抱えている女性は、実はたくさんいるのではないでしょうか。
私はその一人でした。
エニピルを調べ始めたのも、そんな夜でした。
「病院へ行くほどじゃない不調」を抱えた30代女性の本音
通院よりも先に、罪悪感と戦っていた
エニピルはオンラインで低用量ピルを処方してもらえるサービスです。
スマホだけで診察が完結するので、忙しい女性には便利だと思います。
でも私が最初に感じたのは便利さではありませんでした。
「私なんかがピルを飲んでいいのかな」
という妙な罪悪感でした。
避妊目的だけじゃない。
生理痛やPMSの改善を目的に使う女性も多い。
頭では分かっています。
それなのに、
もっと我慢できるんじゃないか。
もっと頑張れるんじゃないか。
そんな声が心の中から聞こえてくるのです。
30代女性は真面目です。
真面目だからこそ、自分の苦しさを過小評価します。
仕事は休まない。
家事もする。
友達との約束も守る。
だから周囲からは元気そうに見えます。
でも本当はギリギリだったりします。
私もそうでした。
生理前の私は、別人みたいになる
一番つらかったのは感情の波でした。
急に悲しくなる。
小さな一言で傷つく。
好きな人のLINEの返信時間が気になる。
SNSで幸せそうな人を見ると落ち込む。
そんな自分が嫌になる。
また落ち込む。
負のループです。
以前は性格の問題だと思っていました。
努力不足だと思っていました。
でも後から知りました。
ホルモンバランスが感情に影響することは珍しくないそうです。
もちろん全てがホルモンのせいではありません。
だけど、全部を自分の責任にする必要もない。
それを知っただけで少し楽になりました。
私たちは真面目すぎるのかもしれません。
頑張り屋だから。
だから不調まで背負い込んでしまうのです。
エニピルを調べて気づいた「治したかったもの」
私は低用量ピルについて調べるうちに、あることに気づきました。
本当に改善したかったのは生理痛ではありませんでした。
肌荒れでもありませんでした。
もっと根本にあったのは、
「毎月やってくる不安」でした。
今月もまた体調が崩れるかもしれない。
大事な予定と重なるかもしれない。
婚活のデートの日に気分が最悪かもしれない。
旅行の日に生理になるかもしれない。
そういう見えない不安です。
人生そのものではなく、
人生の楽しみを少しずつ削っていく不安。
それが私を疲れさせていました。
30代になると時間の価値が変わります。
若い頃のように「また今度」が減ります。
だからこそ、一日一日を気持ちよく過ごしたいと思うようになります。
そのための選択肢として、オンライン診療という方法があるのだと思いました。
そして最後に起きた、予想外の出来事
ここで読者さんは、
「エニピルを利用して人生が変わりました」
という結末を想像するかもしれません。
私もそう書くと思っていました。
でも違いました。
実は私は、その日すぐには申し込みませんでした。
スマホを閉じたのです。
なぜか。
怖くなったからではありません。
逆です。
自分の本音に気づいてしまったからです。
私はピルが欲しかったわけではありませんでした。
本当に欲しかったのは、
「もっと自分を大切にしてもいい」
という許可でした。
生理前に休んでもいい。
疲れたら寝てもいい。
婚活がうまくいかなくてもいい。
肌荒れしてもいい。
完璧じゃなくてもいい。
その許可です。
不思議なことに、それに気づいた夜は少し泣きました。
30代になってから、私たちは強くなります。
でも同時に、自分を追い込みやすくもなります。
エニピルを調べていたはずなのに、最後に見つけたのは薬ではありませんでした。
「自分を責めない勇気」でした。
もちろん、低用量ピルが必要な人もいます。
実際に救われる女性もたくさんいます。
だから否定するつもりは全くありません。
ただ私は、その検索を通じて別の答えに出会いました。
人生を変えたのは薬ではなく、
深夜0時過ぎの静かな部屋で、
ようやく自分の本音を認めた瞬間だったのです。
もし今、
誰にも言えない不調を抱えているなら。
もし毎月のように自分を責めているなら。
どうか覚えていてください。
あなたは怠けているわけでも弱いわけでもありません。
少し疲れているだけです。
そして疲れた心は、
ちゃんと休ませてあげてもいいのです。
それは逃げではありません。
自分を大切にするという、とても勇気のいる選択なのだと思います。





