忙しい夜でも罪悪感を残さない、手作りごはん発想のモグワンドッグフードと私の選択

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    ちゃんとできない日があっても大丈夫と思えた、手作りレシピ生まれのモグワンドッグフード

    餌を食べる犬

    帰宅したのは、駅前の看板がもう「閉店」の文字に切り替わってからで、エレベーターの鏡に映った自分は、朝より少しだけ肩が内側に折れていました。部屋のドアを開けた瞬間、いつもなら先に聞こえるはずの爪の音がなくて、静けさが一拍遅れて胸に落ちてきて、私はそこで初めて「今日、声かけたっけ」と思いました。

    リビングの隅、毛布の端っこから顔だけ出して、うちの子(実家から数日だけ預かっている犬です)がこちらを見ていました。怒っているわけじゃない、でも「待ってた」は確実にそこにあって、私はその視線の前で、いちばん言い訳ができない人間になります。仕事が忙しかった、返信が多かった、電車が混んでた、いろいろ並べても、結局は「自分で選んだ遅さ」なのに。

    私はコートを脱ぎながら、いつものルーティンみたいにキッチンへ直行して、フードの袋を探しました。モグワン。手作り食のレシピをもとに作られた、チキンとサーモンがたっぷり入ったグレインフリーのドッグフードで、原材料には放し飼いチキン生肉や生サーモン、乾燥チキン・乾燥サーモン、サツマイモ、豆類、リンゴやカボチャ、ハーブまで並ぶあれです。
    「今日はこれで、ちゃんとしたことにしよう」って、私はたぶん、犬にじゃなく自分に言い聞かせるために袋を開けたんだと思います。

    空っぽのボウルが鳴ったとき、胸の奥が先に反応した

    器にフードを入れる前、いつもみたいにボウルを軽く持ち上げたら、底がテーブルに当たって「カン」と乾いた音がしました。あの音って、こんなに小さいのに、急に部屋の空気を冷たくするから不思議です。
    「え、今日の朝、あげたっけ」
    記憶をたどろうとして、私は一瞬だけ目をそらしました。思い出せないときって、だいたい「やってない」んですよね。自分の生活の雑さを、他人(犬)にまで持ち込んだ感じがして、胸の奥がきゅっと縮みました。

    誰にも言わなかった本音を、ここで正直に書くなら——私はその瞬間、「うちの子に嫌われたくない」って思いました。
    犬に嫌われるって、たぶん人生の中で一番みっともない。恋愛の駆け引きみたいに言い訳もできないし、仕事みたいに成果で取り返すこともできない。自分の都合がそのまま透けて見えるから。

    「わかる…」って思う人、きっといると思うんです。人間関係で疲れて、誰にも迷惑かけたくないのに、気づいたら一番近い存在に一番雑にしてしまう、あの感じ。

    モグワンの袋を開けると、ふわっと魚とお肉の香りがして、犬の耳がぴくっと動きました。たんぱく質は27%以上、脂質は10%以上、100gあたりのエネルギーは361.5kcal。数字としては淡々としてるのに、その香りだけは「ごはんだよ」って、ちゃんと生き物の世界の言葉で伝わる。
    私は規定量を測ろうとして、メモ帳アプリに「体重×グラム」を打ち込んで、すぐ消しました。今日は、正確さよりも、罪悪感をごまかしたい気持ちが勝ってたから。

    帰り道、コンビニの前に小さなペット用品コーナーがあって、レジ横に並んだおやつのパッケージがやけにカラフルに見えました。私は一瞬だけ立ち止まって、「おやつ買って帰ろうかな」と考えて、すぐにやめました。おやつを買うこと自体は悪くないのに、今日の私はたぶん“おやつで機嫌を取る人”になりたかったんだと思う。
    忙しくて遅くなった罪悪感を、袋の音とカリカリの匂いで上書きする、簡単で、即効性のある方法。そういう“近道”にすがりたくなる夜が、私は最近増えています。

    そういえば、モグワンの給餌量の目安を見たときも、私は少しだけ安心しました。体重5kgの成犬なら1日86gくらい、みたいな具体的な数字があると、「私が適当にやってるわけじゃない」って言い訳が成立してしまう。
    でもその一方で、数字を守っていれば愛情として合格、みたいに思ってしまう自分もいて、そこがなんだか危うい。たぶん私、生活のいろんな場面で“正解”を探しすぎて、その正解を守れた日は安心して、守れなかった日は自己嫌悪して、そうやって一人で勝手に点数をつけている。

    フードを切り替えるときは急に変えない方がいい、とか、食べないときは好みや切り替え方も影響する、とか、いろんな情報も目に入る。


    そういう注意点を読むたびに「ちゃんとしなきゃ」と思うのに、現実の私は、帰宅して手を洗う前にスマホを触ってしまうし、メールの返信をしながら片手で袋を開けようとして失敗するし、丁寧さはだいたい“理想”の中にだけ存在している。


    それでも、理想を持つこと自体が悪いわけじゃない。問題は、理想を持った瞬間に、できない自分をすぐ殴り始めるところで、私はそこが本当に下手です。

    “手作りしたい”は、やさしさじゃなくて不安の裏返しだった

    餌を食べる犬

    モグワンのことを初めて知ったとき、惹かれたのは「手作り食レシピから生まれた」という言葉でした。手作りって、なんだかちゃんとしている感じがするし、忙しい日々の中でも「私は大切にしている」って胸を張れる気がする。
    でも本当は、手作りへの憧れの中に、私の「不安」が混ざってた。

    仕事、将来、友だちとの距離感、実家との連絡、そして自分の機嫌。何を頑張っても、どこかで必ず抜け落ちるものがあって、その抜け落ちた部分を誰にも見られたくなくて、私は“ちゃんとしてる風”の何かを探してしまう。


    犬のごはんを手作りにしたい気持ちも、もしかしたら「私がちゃんとしてない日がある」という事実を、別の“ちゃんと”で上書きしたかっただけかもしれない。

    モグワンの原材料は、チキンとサーモンが合計56.5%で、サツマイモや豆類、果物、海藻、ハーブ、さらにグルコサミンやコンドロイチン、乳酸菌まで入っている。
    それは確かに“手作りっぽい”構成で、私の心はそこに救われやすい。だって「これなら大丈夫」って、理由を持てるから。


    でも、理由が欲しいときって、だいたい心が揺れているときなんですよね。安心したいから、根拠を集める。根拠があると、自分の不安が正当化された気がする。

    犬は、そんな私の心の内側なんて当然知らなくて、器にフードが落ちる音だけでしっぽを振ります。
    その純粋さに、私はときどき、勝手に責められている気分になる。責めているのは犬じゃなくて私なのに。

    罪滅ぼしみたいにフードを盛った夜、私が欲しかったのは「許し」だった

    餌を食べる犬

    フードを器に入れて、少しだけお湯を足しました。粒がふやけて香りが立つと、犬の目が丸くなって、鼻が忙しなく動く。
    その様子を見て、私はほっとしてしまったんです。
    ……ここが、今日の一番の違和感でした。

    私は「よかった、喜んでる」って安心した。
    でも同時に、その安心は「私、許されたかも」という種類の安心でもあった気がして、胸の奥が少しざらっとしました。
    犬の食いつきで、自分の罪悪感を軽くしようとしてる。たぶん、私はそういうことを、無意識でやってしまう。

    外ではうまく笑えるのに、家に帰ると途端に“だめな部分”が露出する。人間関係で気を遣いすぎて、帰宅後は誰にも優しくできない。そんな日が続くと、自分のやさしさの残量が見えなくなって怖くなる。
    だから私は、犬のごはんを「愛情の証明」にしたくなる。
    でもそれって、愛情というより、私の保険なんですよね。
    “私はちゃんとやってる”って、自分に言える保険。

    モグワンは、確かに頼れる。素材の説明を読むだけで、私の焦りは少し落ち着くし、栄養バランス(たんぱく質27%以上、脂質10%以上)も、過度に攻めていない感じがして、続けやすい。
    だけど今日、空っぽのボウルの音を聞いた私が必要だったのは、フードの“良さ”じゃなくて、私自身が「遅くなってごめんね」と口に出す勇気だったんだと思います。


    犬に対して謝るって、ちょっと照れくさいし、誰に見せるものでもないのに、なぜか自分の弱さがむき出しになる。
    だから私は、言葉の代わりにフードを盛った。たっぷり、きれいに、まるで儀式みたいに。

    食べ終わったあと、犬は満足そうに毛布へ戻っていきました。私はその背中を見ながら、「今日だけは、これでチャラにしたい」って思ってしまった。
    誰にも言わなかった本音は、ここです。
    チャラにしたい。
    ほんとは、チャラになんてならないのに。

    でも、今日ひとつだけ、ささやかな変化がありました。
    私はそのあと、スマホを置いて、犬の横に座って、何もしない時間を五分だけ作りました。撫でるでもなく、写真を撮るでもなく、ただ同じ空気を吸う。


    たった五分。でも、その五分の方が、どんな高級フードよりも“ちゃんとしてる”気がしたんです。
    私が欲しかったのは、完璧な栄養管理じゃなくて、「今ここにいる」という事実だったのかもしれない、と。

    明日もたぶん、私は忙しい。返信もあるし、予定も詰まってるし、生活は劇的には変わらない。
    それでも、ボウルが鳴る前に一度だけ声をかけるとか、帰宅して最初に目を合わせるとか、そういう小さな順番を変えることならできそうです。
    “愛情”って、気合いで作るものじゃなくて、順番の中に置くものなんだな、と今日やっと気づきました。

    あなたは最近、誰かに、言葉の代わりに何かを渡してしまったこと、ありませんか。
    それは「やさしさ」でしたか、それとも「安心のための保険」でしたか。
    ——私は、明日こそボウルの音が鳴る前に、ちゃんと名前を呼べるかな。

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