半額クーポン再入荷の夜用ニードル美容液を迷っている人へ、買うか悩む夜の本音と選択

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    今日は「待つのが下手な私」を、こっそり炙り出された日

    ショートカットの女性

    夜の八時すぎ、部屋の暖房がやけに働いていて、カーテンの隙間から入ってくる街灯の光が、洗い終えたコップの水滴にだけ反射していました。

    こういう、何も事件が起きていないのに「今日は疲れてるな」と分かってしまう瞬間がある。帰宅してからずっと、靴下の片方が見つからないまま、片足だけ冷えていて、でもそれを探す気力もなくて、私は片足だけの靴下でフローリングをぺたぺた歩き回っていました。

    今日の小さな出来事は、すごく些細で、誰に話しても「へぇ」で終わるやつです。帰り道に寄ったコンビニで、いつもなら絶対買わない“温かいお茶”を買ったんです。

    体が冷えていたとか、風邪気味だったとか、そういう理由じゃなくて、ただレジ横の小さな棚に「入荷しました」みたいな札が立っていて、それを見た瞬間、なぜか私は反射で手を伸ばしてしまった。たぶん、今日の私は“入荷”とか“再開”とか“戻ってきた”って言葉に、やけに弱かった。

    家に帰って、袋からお茶を取り出したら、指がじんわり温かくなって、同時にスマホの通知が光りました。楽天のページを、昼休みに“あとで”ってタブで開きっぱなしにしていたのを思い出して、私はそのまま画面をスワイプしました。

    「クーポンで半額」「入荷お待たせしました」——そういう文言って、見た瞬間に心を急かしてくる。

    プリエネージュの「ヨルリッチ ニードルセラム 30ml」という、夜に使うタイプの“ニードル”のアイテムで、マイクロニードル、ビタミンC、レチノール、ナイアシンアミド、フラーレン、グロースファクター、アミノ酸、無香料……って、成分名がずらっと並ぶ、あの感じ。値段は3,960円と表示されていて、レビューもたくさん付いているらしい(星の数字がそれなりに綺麗に並んでいた)。

    ここで今日の主軸にしたいのは、商品がどうとか、肌がどうとかじゃなくて、そこに書かれていた「入荷お待たせしました」という一行に、私が妙に刺さってしまったことです。待たされるのが嫌い、というより、待つこと自体に自分のペースを奪われるのが嫌い。私はそのタイプの人間だと思う。


    “待つ”が発生した瞬間、心の中で勝手に焦ってしまう

    たとえば、エレベーターを待つ数十秒ですら、私は妙にソワソワする。スーパーのレジが二人並んでいるだけで、「別の列の方が早いかも」と、カゴを持ったまま小さく横移動してしまう。信号待ちの間に、横断歩道の先のコンビニの入口までの最短ルートを勝手に組み立てている。

    自分でも「急ぎの用事、ないよね?」って思うのに、勝手に気持ちが早歩きになる。

    今日の本音は、それの延長でした。

    昼休みにそのページを見たとき、私は「あとでゆっくり読もう」と思ったんです。なのに夜になって通知が光った瞬間、頭の中で勝手に“完売”の二文字が点滅し始めた。入荷って、いつまで入荷なんだろう。半額クーポンって、いつまで半額なんだろう。残り何個なんだろう。私はいま買うべきなんだろうか。いま買わないと、私は何かを取り逃がすんだろうか。

    そのとき、口には出さなかったけれど、心の中ではけっこうはっきりこう思っていました。

    「私、今夜くらい、何かを“確保”したいんだ」

    自分で自分のことを、ちょっと笑いました。確保って何。戦略ゲームの資源みたい。けど、そういう感覚って、案外まじめに生活の中に紛れ込んでいる。

    仕事が終わって帰ってきて、部屋に自分しかいない。今日もちゃんと働いたし、上司の機嫌にも合わせたし、LINEの返信も無難にしたし、駅の階段で誰かの足にぶつからないように気をつけた。

    そうやって一日を無傷で終えた代わりに、手元には何も残らない感じがする日がある。成果物でもないし、記念日でもないし、私が私に「よくやった」と言う材料が薄い日。そんな夜に、“入荷しました”“半額です”みたいな札が立っていると、私は自分の分の小さなご褒美を、いそいそと回収したくなるのかもしれない。

    いつもは我慢するのに、今日はカートの中身がやけに重い

    私は普段、買い物であまり衝動買いをしない方だと思っています。というか、衝動買いしたくても、その前に「後悔する可能性」を10個くらい思いついてしまう。

    買う前に冷静になるタイプ。カートに入れて、ページを閉じて、次の日にまた見て、「やっぱりいらないか」ってそっと消す。これを繰り返している。

    なのに今日は、その“カートに入れて閉じる”といういつもの癖が、逆に私を追い詰めたんです。タブが増えすぎて、何を後で見たかったのか分からなくなる。

    メモアプリに「あとで買う」って書いたことだけ残って、肝心の“なぜ欲しかったのか”が消えている。私は、未来の自分に丸投げするのが上手すぎる。

    だから今日、半額クーポンの文字を見た瞬間、未来の自分に逃げ道を与えたくなくなった。いま決めないと、また「あとで」にして、結局何も選ばないまま数週間が過ぎる気がした。選ばないことが悪いわけじゃないのに、選ばない癖が続くと、自分が“動けない人”みたいに思えてくる。

    わかる…って言われそうだけど、私は「迷ってる時間」がいちばん疲れる。買うか買わないかの結論より、保留にしている間の、あの薄い罪悪感と、ちいさな落ち着かなさが、じわじわ体力を削ってくる。

    半額、入荷、夜のおすすめ、レビュー数。情報は十分すぎるくらいあるのに、決め手がない。決め手がないのに、決めたい。矛盾。私はスマホを握ったまま、さっき買った温かいお茶を開けて、湯気を見ながら、たぶん十回くらい同じページを上に下にスクロールしました。

    そして、ふと気づいたんです。私が欲しいのは、商品じゃないかもしれない、って。

    “買う・買わない”より先に、私が守りたいものがあった

    美しい女性

    今日の違和感は、そこでした。

    半額って、本来はうれしいはずなのに、私はちょっと怖かった。買わなかったら損、って言われているみたいで。買ったら正解、って言われているみたいで。

    何かを選ぶたびに、人生の採点をされているような気持ちになる夜がある。ほんとに大げさなんだけど、私はそういう大げさな想像を、疲れているときほどしてしまう。

    それに、入荷を待っていた人がいる、という事実も、私を急かした。「私が迷っている間に、誰かが買う」。この“誰か”が具体的じゃないからこそ、怖い。

    知らない誰かに置いていかれる感覚。誰にも置いていかれていないのに、勝手に置いていかれた気になる。

    私、たぶん“待つ”が苦手なんじゃなくて、“待っている間の自分”が嫌いなんだと思う。うまく待てない自分、ソワソワして落ち着かない自分、何かを手に入れて安心しようとする自分。そういう自分が、ちょっと浅ましく見える瞬間がある。

    だけど、浅ましいって言葉が出てくる時点で、私はたぶん自分に厳しすぎる。

    そのとき、誰にも言わなかった本音がもうひとつ浮かびました。

    「私、ちゃんと“欲しい”って言えるようになりたい」

    ここで言う“欲しい”は、モノの話じゃない。もっと雑な、でも切実なやつ。安心したい、とか、誰かに労ってほしい、とか、明日の自分がちょっとラクでいてほしい、とか。そういうものを、私は普段、うまく言葉にしないままやり過ごしてしまう。

    代わりに、カートに何かを入れて、保留にして、また閉じる。それが私の“遠回しな欲しさ”の出し方だったのかもしれない。

    結局その夜、私はすぐに購入ボタンを押しませんでした。押さなかったのは、我慢したからじゃなくて、押す前に一回だけ、画面を閉じて、部屋の電気を少し暗くして、深呼吸してみたから。

    たったそれだけのことなのに、心の中の点滅が少しだけ弱まりました。

    そして、その小さな変化に、私は驚いたんです。

    買うかどうかを決めないまま、私はキッチンのシンクに寄りかかって、蛇口から出るお湯の音を聞きました。今日の私の「小さな出来事」は温かいお茶を買ったこと、と書いたけれど、本当はそのあと、もうひとつだけ、ちいさく恥ずかしいことをしました。

    帰り道の電車で、座席が一つ空いたのに、私がそこに座るかどうか迷っているうちに、別の人がすっと座ってしまった。私は譲ったわけじゃなく、迷っただけなのに、なぜか胸の奥がチクッとしました。座りたかった自分を否定したみたいで、座りたいと言えなかった自分に腹が立ったみたいで。

    ああ、私はこういうところでいつも“待って”しまう。席が空いても、買い物の決断も、人に何かをお願いすることも、いったん脳内で「今ここで動くと、どう見える?」を検討してしまう。

    検討している間に、チャンスは誰かのものになる。誰かのものになった瞬間にだけ、自分の本音が遅れて浮上する。

    だから私は、入荷とか半額とかの言葉に、必要以上に反応してしまうのかもしれない。先に動けなかった自分が、あとから慌てて帳尻を合わせようとするみたいに。

    そう考えると、今日の“夜のニードル”は、肌に刺さる針というより、私の癖に刺さる針だった。情報が多いページを見ているはずなのに、結局見ていたのは「待たされた私」「待てない私」だったんだと思う。

    たぶん私は、何かを確保したい夜ほど、いちばん確保したいのは“落ち着き”なんだと思う。クーポンや入荷の文字に背中を押されるのは悪いことじゃないけれど、押されたまま走り出すと、あとで息が切れて、何のために走ったのか分からなくなる。

    今日の結論は、きれいな言葉にできません。私は相変わらず待つのが下手だし、たぶん明日もレジの列で小さく横移動する。

    だけど、通知が光った瞬間にすぐ“完売”を想像してしまう自分を、少しだけ笑って、少しだけ撫でてやれる気がした。

    あなたは今日、何かを「確保」したくなる瞬間、ありましたか。もしあったなら、その確保したかったものって、本当は何だったんだろう。


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