菊芋・・・その歴史と栽培について

菊芋について

ダイエット食、糖尿病対策食品として世界的に注目を浴びている「菊芋」

その歴史と栽培方法は、意外と知られていません。

知らなくても効果、効能には直接関係はありませんが、豆知識として知っておくこともいいと思います。

 

■菊芋の歴史

菊芋は、日本人にとっては、あまり馴染みのない食品だと思います。それもそのはず、十数年前までは、日本のほんの一部(長野、埼玉、岐阜、熊本など)でしか栽培されていなかったのです。

しかしアメリカやヨーロッパ各地では、体の治癒力を高めるということから「薬用ハーブ」として自然療法に取り入れられていました。

■菊芋の原産地は

菊芋の原産地は、北アメリカです。原住民のトピナンブ族が冬場の食料や家畜の資料として活用していました。またその以前からある種の薬としても使われていたのです。

菊芋の学名には「根茎を作る太陽の花」という意味があるくらいです。

■北アメリカ原産の菊芋は、どのようにして日本にやってきたのでしょう。

北アメリカのトピナンブ族が栽培していたものを、17世紀初頭にフランス人の探検家のサミュエル・ド・シャンプランが母国に持ち帰ったとされています。

フランスから北アメリカに渡った入植者にとっても、天候不順などで飢餓に苦しんでいるときの非常食としても役に立ちました。

繁殖力が強くて栄養価も高い菊芋は、フランス国王にも献上されたほどです。

その後、菊芋はヨーロッパを襲う大飢饉をきっかけにどんどんと栽培が広がっていきます。

菊芋は繁殖力・生命力が強いので原野や河原にも植えられたそうです。

菊芋のおかげで、多くのヨーロッパの人々が救われました。

菊芋が日本に上陸したのは、1853年の黒船によるペリー来航の時だとされています。

このとき黒船から菊芋が持ち込まれました。外国船の食料だったんですね。

ちなみにこの植物を「菊芋(きくいも)」と命名したのは、明治期に活躍した博物学者の田中芳男です。

菊のような花と芋のような根から名付けたのでしょう。

※田中芳男・・長野県飯田市出身の明治政府高官で農業の近代化に努めました。パリやウィーンでの万国博覧会にも派遣されています。有名なところでは上野に博物館や動物園を設立しています。

日本でも栽培されるようになった菊芋ですが、最初は、冬場の漬物の材料として食べられたり、家畜の餌として使われていました。

しかし第二次大戦で日本が食糧難になると菊芋は飢えを凌ぐ食べ物として、咲くつけ統制野菜に指定され、各地で栽培されるようになりました。

その後、環境省からは要注意外来生物として指定されるとは、なんとも皮肉なことです。

■菊芋はどのような野菜なの

菊芋は草丈が3メートルにもなるキク科ヒマワリ属の多年草です。

草丈が3メートルにもなるので、見た目は「菊」ではなく、ちいさな「ひまわり」といったほうがピンとくると思います。

名前も菊芋と言いますが、芋ではなく、どちらかといえば「ごぼう」をイメージするほうがいいと思います。

植え付けは3月から4月にかけて、この時期に種芋を土の中10センチ〜20センチの深さに植えていきます。2〜3週間で目が出始め、以後は、どんどん成長します。

花が咲くのは、8月中旬から9月中旬にかけて、直径10cm(小さなひまわりです)ほどの黄色くて可愛い花を咲かせます。この頃には草丈が2メートル〜3メートルほどになっています。

花が枯れると地中に生姜と里芋に似た根茎を作ります。この根茎が食用とされる菊芋です。

収穫は10月末〜11月にかけてです。

道の駅などの店頭に並ぶのもこの頃からです。

根茎は、色んな料理に使われることで、広がるのですが、菊芋は、生産が全国的に広がらなかったことで、生の菊芋を購入できるところは、少ないようです。

■生産が全国に普及しなかったのは、なぜなのでしょう。

これほどまでにも食用に適しており、栄養も豊富な菊芋が、なぜ全国的に栽培が広がらなかったのでしょう。

その理由は、85%を水分が占める菊芋は数日でしなびてしまい、取り扱いが難しかったからです。

遠くへ運ぶために時間を費やすことで、しなびて商品価値が落ちてしまうのです。

そして多くの人が栽培をしなかった理由は、繁殖力が非常に強すぎて、一度畑に作付けすると土地の栄養分を1年で根こそぎ吸収してしまうからなのです。

多年草であるために、放置しておくことで野生化し在来種の植物をも駆逐してしまう恐れもありました。

※環境省からは要注意外来生物に指定されるほどすごい繁殖力があります。

国立環境研究所のページ>>>https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80560.html

これだけ強い繁殖力があるということは、よほど菊芋の中には、たっぷりと栄養が含まれているのでしょう。

実際、根茎には多種多様なビタミンやミネラルやアミノ酸、食物繊維などが多く含まれており、特にイヌリンの含有量は、他の野菜に比べてもずば抜けています。

このイヌリンが、国内外で研究されることによって、菊芋も注目されてきました。また菊芋は、デンプンをほとんど含まないので、カロリーはじゃがいもの5分の1しかありません。このカロリーの低さがダイエットにもつながるのです。

菊芋は、人にとってとても良い食品です。まだまだ知られていないこともたくさんあるようです。

日本人と菊芋:自然の恩恵を味わう歴史の一端

菊芋の起源と日本への伝来

菊芋は、地球上で最も古い食物の一つとされ、その起源はアンデス地域にまで遡ります。しかし、日本への伝来は比較的新しく、江戸時代にポルトガル船(黒船によってもたらされたという説もあり)によってもたらされたと言われています。以来、日本の土地に根付き、私たちの食卓に欠かせない存在となりました。

菊芋と伝統医学の結びつき

日本では、菊芋は伝統医学である漢方薬や和漢薬において重要な役割を果たしてきました。その根は、消化器系や免疫機能の向上に寄与するとされ、昔から様々な健康効果が期待されてきました。古来から、自然の中に潜む恩恵を見極め、利用してきた日本人の知恵が反映されています。

和食との相性:菊芋の料理への取り入れ

和食の一環として、菊芋はさまざまな料理に登場します。そのユニークな風味と歯ごたえは、和食の奥深さを引き立て、日本の伝統的な食文化に欠かせない存在となりました。焼き物や炒め物、サラダなど、菊芋を使ったレシピは多岐にわたり、そのバリエーションは料理愛好者にとっても魅力的です。

現代の健康ブームと菊芋

近年、健康への関心が高まる中で、菊芋が再び注目を浴びています。その主成分であるイヌリンが、腸内環境を整え、免疫力を向上させるとされ、特に健康志向の人々に支持されています。サプリメントや健康飲料としての利用も増え、古くからの伝統が現代のライフスタイルにもフィットしています。

結びつく歴史と未来

日本人と菊芋、その歴史はきりがないものであり、自然の中で培われた知恵と共に歩んできました。伝統的な料理からモダンな健康志向まで、その多様性が日本の食卓を豊かにしています。今後も、菊芋が私たちの健康と食文化に与える影響を追求し、その歴史を大切にしていくことが重要です。

菊芋が日本で人気にならない理由

菊芋(きくいも)は、一部の地域では人気がありますが、日本全体ではあまり一般的な食材ではないですね。

その理由にはいくつかの要素が考えられます。

まず、菊芋の知名度が低いことが挙げられます。

他の野菜や食材と比べて、菊芋はあまり知られておらず、多くの人が存在を知らないかもしれません。

普段の買い物で一般的なスーパーマーケットや飲食店でなかなか見かけることがないため、なじみが薄いと言えます。

さらに、菊芋の調理方法が明確でないことも要因の一つです。

一般的な人々にとって、どのように調理すれば美味しく食べられるのかが分かっていないことがあります。

料理の扱いに不慣れな人たちは、手に入れても上手に料理に取り入れることが難しいと感じるでしょう。また、地域によっても菊芋の認知度は異なります。

一部の地域では人気があり、特にその地域の伝統的な食文化に組み込まれているかもしれませんが、他の地域ではあまり一般的ではないため、地域差が存在します。

さらに、菊芋の食感や風味も好みが分かれる要素の一つです。他の野菜とは異なる食感や風味を持つ菊芋は、個人の好みに合わない場合もあります。

菊芋の独特な味わいや食感が魅力的に感じる人もいますが、一方で他の人には受け入れられないこともあります。

ただし、菊芋は栄養価が高く、食物繊維やイヌリンなどの健康に良い成分を含んでいます。そのため、菊芋の普及を目指し、知識を広めたり、調理方法を紹介したりする取り組みも行われています。



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